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ルクスさんの兵器解説 第4回
レオパルト2A4エボリューション

最終更新;2010/08/24
(トップページから追記をお引越し)


leopard2A4evoluthion
Photo by IBD
今回ご紹介するのは、レオパルト2A4エボリューションです。
本車は、ドイツのIBD Deisenroth Engineering社がプライベートベンチャーで開発したもので、レオパルト2A4に増加装甲パッケージを装着する形で製造され、2008年5月8日に発表されました。
IBD Deisenroth Engineering社は、1981に創設された装甲の専門メーカーです。部品の納入業者は表に出にくいのですが、Tpz.1フクスにレオパルト2、Pzh2000やプーマにも装甲を供給しています。
IBDの装甲は、ドイツを含む17カ国で使用されており(2009年4月現在)、アメリカのストライカーなんかにも使用されています。
 
レオパルト2A4エボリューションのコンセプト

Photo by IBD
従来の防御思想
 従来の戦車は、正規戦を想定した装甲配置をしてきた。これは、正面の装甲を厚くして、側面や背面の装甲を最小限にするというものである。これにより重量の増加を防ぎ、機動力を活かして戦機を捕らえるという発想である。奔放な重量の増加を許せば、渡河機材や戦車輸送車、橋といった交通インフラの容量を超えて運用上の問題を生じてしまうのだ。
 このため、戦車は戦闘中は脅威に対しては常に装甲の厚い正面向け、装甲の薄い側面や後面は晒さない。このような設計・運用思想となったのには、これまで想定された戦闘環境が明確な戦線の発生しやすい正規戦であったことも大きく影響しているだろう。

 
 
現代の脅威に対抗して
 しかし、現在主流となっている非対称戦では明確な戦線が発生しにくく、活動地域も本来なら戦車が苦手としている市街地となることが多い。このため、装甲の薄い側面や後面も脅威に晒されるようになった。
 このように従来の戦車の防御思想は、現在の戦闘環境に合致していなかった。この状況の改善策として、IBDが提案したのがレオパルト2A4エボリューションである。これは、レオパルト2A4に各種モジュラー装甲を装着し、全周の防御力を高めようというものである。
 
構造

Photo by IBD
 レオパルト2A4エボリューションは、AMAP(ADVANCED-MODULAR ARMOR PROTECTION) と呼ばれる増加装甲を数種類組み合わせて構成されている。AMAPはIBDが開発したもので、弾道防御用のAMAP-Bや成形炸薬防御用のAMAP-SC等、脅威の種類に合わせて9種類が用意されている。これらを組み合わせることにより、多くの脅威に対抗することが出来る。レオパルト2A4エボリューションには、以下のAMAPが使用されている。
  • AMAP-B(対弾道)
  • AMAP-SC(対成形炸薬) 
  • AMAP-IED(対IED)
  • AMAP-R(ルーフ・プロテクション)
  • AMAP-L(スポール・ライナー)
  • AMAP-M(対地雷)
  • AMAP-ADS(アクティブ・ディフェンス・システム) 上の画像では装備されていない。
 AMAP-B,SC、IEDは、非対称戦特有の脅威に対抗するよう配慮されているが、大口径KE弾
やEFP弾にも有効である。AMAP-Mは近年増加しているEFPタイプの地雷への抵抗力を重視しているという。

 レオパルト2A4エボリューションへの改修に要する期間は1週間とされている。重量は、56,6tから60tに増加する。AMAPは、アタッチメント・ポイントを車両に溶接して取り付ける。取り付けのために穴を開ける必要がないため、オリジナルの構造の防御力を損なうことも無い。AMAPは、モジュール化されているので、より防御力の高い素材が開発されれば交換することもできる。
 また、AMAPは車両の機能を阻害しないよう配慮されている。例えば、足回りへのアクセスを阻害する事もなく(Fig3)、給油の際には砲塔モジュールを動かす事ができる(Fig4)、パワーパックの取り外しも問題無い(Fig5)。

Photo by IBD
この改修では以前からより弱点と言われていた、砲塔前面の砲手用サイトはそのままになっています。レオパルト2A5等では砲塔上面に移動していますが・・・

IBDは、装甲メーカーでこういった改修は苦手なのかもしれません。
  
まとめ
 レオパルト2A4エボリューションの改修は防御のみを改善するもので、本当の意味で現代的な戦車とするにはTCCS等のデータリンクの装備が欠かせないだろう。また、任務によってはリモコン式ガンマウントやAPUの装備も望まれるだろう。当然その場合重量は増加する。
ほとんどの国は、レオパルト2A5やStrv.122のような増加装甲を取り付けていますが、スイスのPZ87WEは独自の増加装甲を取り付けています。

Pz87WEはここで見られるので、エボリューションと比べてみてくださいね。
参考資料 IBDのウェブサイト
 
  
ユーロサトリ2010でラインメタルはMBTレボリューションを発表
ラインメタルは、装甲を含む総合的な改修案としてMBTレボリューションを発表しました。この改修は様々なMBTに適用できるそうですが、デモンストレーターはレオパルト2A4が使用されました。
これはAMAPを使用したデモンストレーターとして既にレオパルト2A4エボリューションが完成しており、これを流用するのが手っ取り早いと考えられたのでしょう。
もちろん他のMBTに適用する場合は、AMAPを使用して対象のMBTに適した形状の増加装甲が製造されるでしょう。



詳細はラインメタル公式サイトでどうぞ。

  
  
 2010/06/23;シンガポール軍がレオパルト2EVOらしき戦車を公開



タイトルに「らしき」とつけたのは、この増加装甲がIBD Deisenroth Engineeringのエボリューション・キットだと確信できる情報が得られなかったからです。この増加装甲は、外観がよく似ていますが若干細部が異なります。

ドイツ語のウィキペディアには、シンガポールはIBD社からエボリューション・パケットを購入したとの情報が載せられています。ソースが記載されていないのですが・・・。

とはいえ、この増加装甲はIBD Deisenroth Engineering社のレオパルト2A4エボリューションでほぼ間違いないと思います。

先日ラインメタルが発表したMBTレボリューションの増加装甲も、若干形状が異なりますがこちらもIBD Deisenroth Engineeringの物でしょう。

IBDが発表したレオパルト2A4エボリューションと、ラインメタルのMBTレボリューション、シンガポールのレオパルト2はどれも増加装甲の形状が少々異なります。これはエボリューション・キットが元々複数の増加装甲を組み合わせて構築されたものなので、ラインメタルとシンガポールの要望にあわせて細部が変更されたのでしょう。改良による変更の可能性もありますが。

曖昧で申し訳ありませんが、いまのところ得られた情報はこんなところです。
また情報があれば更新します。
 
  
おまけ

Photo byKMW
 ベースとなるレオパルト2A4。ドイツ本国では冷戦の終結により余剰傾向にあり、各国への輸出が進んでいる。レオパルト2A4の採用国には、ノルウェー、フィンランド、ポーランド、チリ、シンガポール、デンマーク、ノルウェーがある。IBDはこれらの改修に着目したのであった。



Photo byKMW
 レオパルト2EX。砲手用サイトが、砲塔前面から上面に移動している。



Photo byKMW
カナダ軍のレオパルトC2A1。IBDの増加装甲MEXAS-Mを使用している。MEXASとは、MODULAR-EXPANDABLE ARMOR SYSTEMの略語である。
作成;2009/04/24
更新;2010/08/24
(トップページから追加情報をお引越し)
  
↓新しいアイコンつくった!でも、つかう機会がなかった!!!
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