地雷投射器 スコルピオン 2010/09/19;作成 |
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地雷投射器スコルピオンは、アメリカ製のM548汎用輸送車をベースに開発された地雷敷設車で、工兵部隊で使用されている。スコルピオンは、車体後部に設置された6基の地雷投射器から地雷を投射しながら走行することで地雷原を形成する。スコルピオンの車台はアメリカ製だが、地雷投射器、地雷、制御機構はドイツで開発された。本車は戦闘車両としては珍しく装甲化されていない。 |
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開発 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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スコルピオンの開発・製造は1980年代初頭から中盤にかけて行われた。80年代はドイツが再軍備を始めてからレオパルト1、マルダー歩兵戦闘車、偵察装甲車ルクス、自走高射砲ゲパルト、自走榴弾砲M109といった主要陸戦兵器の開発が完了し、戦車はレオパルト2への更新が始まった頃であった。また80年代は、各国で各種地雷散布装置の開発が活発化していた。 スコルピオンの試作車は、1980年から翌年にかけて製造された。この試験の経過は不明だが、開発は順調に進んだとみえて1981年から82年にかけて車台のM548A1が300両調達された。その後、荷台に地雷投射器が設置され86〜88年に工兵部隊に引き渡された。地雷投射機の開発には、以下の企業が携わった。
生産されたスコルピオンは、旅団の機甲工兵中隊に4両、師団の工兵大隊に12両ずつ配備された。部隊配備の最低単位は2両となっている。当時の機甲工兵中隊の編制は、panzerbear.deに掲載されている第四次陸軍編制による機甲工兵中隊の編制表が参考になる。 その後、冷戦の終結に伴う軍縮により配備数は削減され、現在はドイツ連邦陸軍の編制指標“Struktur Heer 2010”により68両が現役となってる。 |
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地雷投射器の構造 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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スコルピオンは、車台のM548A1G、地雷投射器、地雷マガジン、散布密度の制御に使用するEPAGから構成されている。乗員は2名で、両名とも最前部のキャビンに着座する。キャビン上部のリングマウントには自衛用のMG3が装備されている。 車台 スコルピオンは、M548A1Gの荷台に地雷投射器を設置する形で製造された。M548は、M113装甲兵員輸送車から派生した非装甲の6t積みの汎用輸送車輌である。M548は、アメリカ軍で採用され弾薬、貨物、兵員の輸送に使用されている。M548は、シャパラルやレイピアといった自走対空ミサイルのベースにもなっている。 地雷投射器 スコルピオンは、走行しながら地雷を投射することで地雷原を形成する。地雷は発射薬によりマガジンから投射される。この時、投射器の旋回と仰角の調整により20〜40mの間で地雷の射距離が調整される。車体両側面に投射機があるので地雷原の幅は40〜80mになる。 スコルピオンは、600個の地雷を携行する。これを1000m(1mあたり0.6個)、1500m(0.4個)、3000m(0.2個)の長さから選んで散布することができる。しかし3000mでの散布は密度が低下するので例外的な措置となる。地雷原は、2重或いは3重にして奥行きを持たせることも出来る。もちろん敷設の方法は、地形と戦術に応じて決定される。敷設に要する時間は、例えば正面1500m縦深200mの地雷原であれば10分で完了する。また、正面1500mでも縦深50mであれば5分で完了する。 スコルピオンは後部に6基の地雷投射器を搭載しており、それぞれの投射器には20発入のマガジンを5個収容する。各マガジンには4基の発射筒があり、各発射筒には5個のAT2が収納される。1両あたりの地雷の総搭載数は600個になる。スコルピオンは、AT2以外の地雷を使用することも出来るが今のところAT2以外の地雷は配備されていないようである。 EPAG EPAG(調定・テスト・発射機材)は、地雷の散布密度、発射方向、射距離、地雷の活動時間を設定するための機材である。AT2は3〜96時間の範囲で活動時間を調整することができ、活動時間が経過すると地雷は自壊する。EPAGは、こうした地雷の設定を管理する。
AT2 対戦車地雷 AT2は、もともとLARS110o自走多連装ロケットの弾頭用にダイナマイト・ノーベル社が開発した対戦車地雷である。AT2はいくつかのバリエーションがあり、スコルピオン用はDM1274と呼ばれ1992年までに640000個が製造された。そして1992年からはMLRSとスコルピオンで共用できるDM1399が製造された。DM1399は、イギリス向けの分も合わせて約350000個が生産された。 AT2は、底部に信管セクションがあり、その上に弾頭、頂部にはドーム状のカバーが被せてある。このカバーは、成型炸薬のメタルジェットの進路を遮る物が無いようにして、メタルジェットが正しく形成されるのを助けるための物である。地雷底部の周囲にはスプリングで展開する足があり、これが地雷を直立させる。 地雷底部の信管セクションには、電気信管と機械式信管の2種類が搭載されている。電気信管アッセンブリは、アーミング・シーケンスの管理とセンサー・シグナルの評価を行う。電気信管の電力はバッテリーにより供給され、発射薬の点火時によりアクティベートされる。地雷の信管は、投射から5分後にアクティブとなる。 電気信管は、目標車両がAT2を跨いで通過する場合の起爆に使用する。これは地雷側面のS3ターゲット・センサーと呼ばれるスクラッチ・ワイヤーが、目標車両に接触することで電気信管が起爆する。このスクラッチ・ワイヤは、セミ・フレキシブルなプローブで、車両の底面に接触した振動を電気信管に伝える。信管はこの信号を検証して車両であると判断すると起爆する。車両が地雷を直接踏み潰した場合は、機械式信管が起爆する。この他、AT2にはアンチ・ハンドリング・デバイスが搭載されており撤去に抵抗することができる。 AT2には時限式の自壊機能が備わっており、自壊時間は6種類から選択できる(最短3時間、最長96時間)。これは、地雷がいつまでも活動していると自軍の行動まで制約するためである。自壊は、99%の確立で成功すると報告されている。仮に自壊メカニズムが不調であった場合も、短期間の後に信管のバッテリーが切れるることになっている。 AT2諸元 貫徹力:140o 重量:2.22s 直径:103.5o 高さ ●円筒部:128o ●ドーム頂部まで:160o ●センサー頂部まで:700o AT2 バリエーション DM1233:LARS及びMLRS用 DM1274:スコルピオン用 DM1399;MLRSとスコルピオン共用 スコルピオンには、訓練用に爆発能力のない地雷も用意されている。訓練用地雷は、青とオレンジで着色された訓練用マガジンから投射される。投射した訓練用地雷は回収して、再び使用することが出来る。この訓練用マガジンは、2000個が連邦軍に引き渡された。 |
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改修 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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スコルピオンは交通安全性能が不足しているとされ、NDV-1(Nutzungsdauerverlängerung-1/使用期間延長 )と呼ばれる改修を受けた。これにより、新しい操向装置とエンジンから独立したブレーキをが組み込まれた。新しい操向装置は、操縦にステアリング・レバーの代わりに操縦桿を使用する。この改修が、いつ頃行われたかは不明である。NDV−1改修を受けたスコルピオンは、角張ったテールランプと操縦室の操縦桿で見分けることができる。さらに90年代の終りには、履帯がディール製のTyp513に変更された。 |
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動画 | |||||||||||||||||||||||||||||||
諸元 | |||||||||||||||||||||||||||||||
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参考資料 | |||||||||||||||||||||||||||||||
ウェブサイト www.deutschesheer.de ドイツ連邦軍公式サイト www.panzerbar.de Panzer-modell.de ディティール画像多数 Wikipedia.de スコーピオンの現在の配備数を参考 Jane's Infomation Group AT2の解説 Wikipedia.en AT2の諸元を参考 書籍 「Panzerponier der Bundeswehr 1956-2000 (FAHRZEUG PROFILE18)」 UNITEC-Medienvertrieb刊 「Panzer der Bundeswehr seit 1956」 Motor Buch Verlag刊 「Die Rad- und Kettenfahrzeuge der Bundeswehr 1956 bis heute」 Bechtermünz Verlag刊 |
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あとがき | |
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スコルピオンって装甲無いよね。 このサイトだと「戦車及び装軌装甲車」に分類されてるけど・・・ |
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間違えちゃったの でも、非装甲の装軌車両は少ないし 新しい項目を作ると煩雑になるから このままにしておくよ。 |
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そういうわけで ご理解の程、よろしく以下略です。 |
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